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次世代の超高性能EVM互換チェーン「Monad(モナド)」とは?注目される理由とその可能性

画像: https://www.theblock.co/post/252757/monad-token-name

2024年以降、EVM互換チェーンの新たな選択肢として急速に注目を集めているのが「Monad(モナド)」です。Solanaに匹敵する高スループット性能と、Ethereumとの完全な互換性を両立させたこの新進気鋭のL1チェーンは、Paradigmなど有力VCから2億2,500万ドルもの資金調達を受けたことで大きな話題となりました。

本記事では、Monadの基本概要から技術的特徴、他チェーンとの比較、今後のエコシステム展望までを、初心者にもわかりやすく解説していきます。

Monadとは?Ethereum互換と高性能を両立する新時代のL1チェーン

Monadは、Ethereum Virtual Machine(EVM)と互換性を持つレイヤー1ブロックチェーンです。その最大の特徴は、従来のEVMチェーンが抱える「逐次実行」の制約を打破し、**並列実行(Parallel Execution)を実現した点にあります。これにより、理論上の処理能力は1秒間に最大10,000トランザクション(TPS)**にも及び、Ethereum(約15 TPS)を大幅に上回るパフォーマンスを発揮します。

開発を手がけるMonad Labsは、GoogleやJump Trading出身のエンジニアで構成されており、分散システムとハイパフォーマンス設計において高い専門性を誇ります。

技術的特徴:EVMを根本から最適化する革新技術

Monadを支える主な技術要素は、以下の3つです。

  1. Optimistic Executionトランザクションを事前に仮実行し、並列処理を可能にすることで従来の待機時間を短縮。整合性は後から検証される仕組みです。
  2. State Caching
     頻繁にアクセスされるデータをメモリ上に保持することで、読み込み速度を劇的に向上。
  3. 効率的なパイプライン処理
     受信から実行、検証、保存といった一連の処理フローを分離・並列化し、全体の処理スピードを最大化しています。

このように、既存のEVM設計を一段進化させた構造により、「EVMの限界を超えるL1チェーン」として位置づけられています。

他チェーンとの比較:Solana級の性能 × Ethereum互換性

チェーンスループット主な開発言語EVM互換処理構造
Ethereum約15 TPSSolidity逐次実行
Solana約65,000 TPSRust×並列実行
Monad約10,000 TPSSolidity並列実行

Solanaは圧倒的な処理性能を誇りますが、Rustベースの開発環境がネックとなり、Ethereumエコシステムの開発者にとって参入障壁が高いという課題がありました。

Monadは、その点を補うようにSolidityをそのまま使え、かつ高性能な並列処理が可能という、いわば“EthereumとSolanaの良いとこ取り”とも言える設計です。既存のEVM資産やコードベースを活かしながら、次世代dAppの展開を目指す開発者にとって魅力的な選択肢となっています。

エコシステムと今後の展望:本格始動に向けた準備が進行中

2024年5月時点で、Monadはテストネット段階にあり、メインネットのローンチは年内後半が予定されています。トークンの詳細や配布方針などはまだ明らかにされていませんが、エアドロップを含めた初期ユーザー向けのインセンティブ施策にも期待が高まっています。

現在はdApp開発者向けのツールキットやテスト環境が整備されつつあり、開発コミュニティとの連携も強化されています。すでに複数のプロジェクトがテストネット上で展開を始めており、エコシステムの広がりは今後加速する見込みです。

まとめ:EVMの進化形としてのMonadに注目

Monadは、単に高性能なEVM互換チェーンという枠にとどまらず、Ethereumエコシステムにおける“EVMの進化版”として強い存在感を放っています。L2ロールアップのような拡張手法とは異なり、L1の構造自体を再設計することでスケーラビリティ問題に正面から取り組んでいる点が大きな特徴です。

EVMチェーンが抱えていた限界を、根本から見直す形で克服しようとするMonadの挑戦は、今後のWeb3におけるインフラ選択に新たな視座を与えるでしょう。Mainnetのローンチに向けて、今後の動向から目が離せません。